センター概要

ご挨拶

鈴木 実 (センター長)

京都大学複合原子力科学研究所(以下、複合研)では、世界最多の580例を超えるBNCT治療件数を研究用原子炉(Kyoto University Research Reactor, KUR)から取り出される中性子線を使用して実施してきました。これら臨床研究の成果と、企業との共同研究として複合研において実施された加速器BNCT照射システムの開発成功という大学発の研究成果は、2020年6月に、医療機関での頭頸部がんに対する加速器BNCTの診療開始として医療機関にバトンタッチされました。今後のBNCT臨床研究の進展、発展は、医療機関にゆだねられ、複合研におけるKURを使用したBNCT臨床研究の46年に及ぶ長い歴史は幕を閉じました。

この終幕は、複合研で実施されるBNCTの基礎研究成果が、がんと闘う数千人、数万人の多くの患者さんに対する加速器BNCTの臨床に貢献するという「橋渡し研究」の幕開けにつながりました。粒子線腫瘍学研究センターでは、ホウ素中性子捕獲反応(下図参照)を利用した「橋渡し研究」を推進し、中性子捕獲反応をキーワードとした種々の放射線生物学、放射線腫瘍学、医学物理学の基礎研究を、今後、より一層充実させ展開していきます。

ホウ素中性子捕獲反応(ホウ素中性子捕捉照射)
安定同位体である10B原子核が熱中性子を吸収後、直ちにヘリウム原子核とリチウム原子核に分裂します。それぞれの飛程が細胞1個のサイズ以下の10μmであることから、10Bを含む薬剤を標的とする細胞群に集積させると、その細胞群が選択的に照射されます。

研究内容

粒子線腫瘍学研究センターでは以下の研究分野に分かれてBNCT研究を行っています。

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